北海道縦断旅行記① 函館から稚内への鉄道旅

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青春18きっぷ」を使うなら

2021年夏、ブログ執筆時点(24年1月)ではもう記憶も薄れつつあるが、長時間労働の日々に明け暮れていたことは間違いない。ただこの頃、監獄にいるような日々を送っていた私に「一筋の光」が差し始めたことは鮮明に覚えている。それは、新しい上司から、夏休みとしての「有給休暇取得奨励」の大号令がかかったのであった。

土日にくっつけて、木・金と有給申請をしてみる。どんどん取りなさいという風潮で申請は難なく承認。世の会社員にとって、さほど高いハードルではないのかもしれないが、当時の私にとってはもはや革命だった。このありがたき4連休、コロナ禍ということもあり海外はまだ行けそうにない。そうなると「青春18きっぷ」の鉄道旅をしてみたい。そう、ふと思った。

家に帰って行き先を決めるために地図を眺める。猛暑から逃れたい…、無意識に目線が東北や北海道へ向く。青春18きっぷ北日本か。長年やってみたいけど、なんだかんだでやり逃して来たことがあることを思い出した。

それは、『北海道縦断』。

函館から稚内まで、北へ向かって進み続ける鉄道旅。「青春18きっぷ」という名前になんと相応しい行程だろう。

きっとコロナが落ち着いたら、海外に行きたいと思ってしまう気がする。そして北海道を縦断するのはなるべく若いうちにやってみたい。今が「その時」だと思った。

1日目 津軽海峡フェリーで函館上陸、そして小樽へ

f:id:sampit77:20240105185640j:imageどこまでもストイックな旅にしようと思った。2021年7月28日(水)、連休前夜、夜行バスに乗り込む。行き先は北海道ではなく、青森だ。函館から旅をスタートさせる前に津軽海峡をフェリーで渡る。f:id:sampit77:20240105185653j:image朝6時の花輪SA。トイレ休憩で外に降りると、東京の猛暑が嘘のような爽やかさに包まれる。f:id:sampit77:20240105185645j:image朝8時半、青森駅前に到着。フェリーの時間は10時、まだ時間に余裕もあるので、青い森公園で優雅に歯磨き。公園で草刈りをしているお爺さんからは怪訝な視線を向けられる。f:id:sampit77:20240105185720j:imageフェリー乗場は青森市街地から少し離れている。公園近くの「古川」というバス停から「野木和団地」行きのバスに乗る。最寄りの「新田」というバス停で降りるのは私だけだった。フェリーにあわせてシャトルバスも走っているようだし、あまり路線バスを使う人はいないのかもしれない。f:id:sampit77:20240105185648j:imageなんだかんだ時間がギリギリになってしまい、バス停から走って出港5分前にターミナルへ。「もっと早く来てください」と窓口で怒られる。乗船用の通路はもう閉まっており、係員の方に誘導されて乗船中の車の脇を通って乗るというイレギュラーな対応をしていただいた。f:id:sampit77:20240105185658j:imageあとから調べると、事前予約をしていても90分前にはターミナルで受付をしないといけなかったらしい。それは怒られる訳だ…。青い森公園で歯磨きする余裕なんて本当は無かった。f:id:sampit77:20240105185706j:imagef:id:sampit77:20240105185710j:image船旅の景色は素晴らしかった。津軽半島下北半島どちらもよく見える。乗船時間は3時間半、景色を楽しんで、船内の自販機で買ったお昼を食べて、お昼寝をして。気づけば函館が見えて来ていた。f:id:sampit77:20240105185702j:image陸繋島の函館山とトンボロ上の函館市街地。特徴的な地形がよく分かる。f:id:sampit77:20240106142109j:imagef:id:sampit77:20240106142057j:image函館側のフェリーターミナルも市街地から離れていて、最寄り駅の五稜郭駅まで函館バスで向かう。この時なんだか東急バスのようなカラーリングだなと思っていたが、かつて実際に東急グループだった過去があることを後に知った。f:id:sampit77:20240106142113j:imagef:id:sampit77:20240106142018j:image五稜郭駅へ。駅員さんに青春18きっぷの「1日目」部分にスタンプを押してもらう。ここから稚内まで約700キロ、長い鉄道旅のスタートだ。f:id:sampit77:20240106142027j:image14時半、白地に黄緑のラインが入った列車に乗り込む。長万部(おしゃまんべ)行きの普通列車だ。f:id:sampit77:20240106142053j:imagef:id:sampit77:20240106142036j:imageガラガラガラとディーゼル音が身体まで震わせる。そして加速するまで随分時間がかかる。窓を少し開けてみると、爽やかな風が吹き込んできて顔を撫でる。北海道の旅が始まった、そう実感した瞬間だった。f:id:sampit77:20240106142101j:image大沼という湖の手前で、函館本線は二手に分岐する。一方は山を突っ切っていく最短ルート、特急はこちらを通る。もう一つは海沿いを回り道して小さな街を通っていくルート。私が乗っている列車は後者のコースを進む。f:id:sampit77:20240106141956j:imagef:id:sampit77:20240106142049j:imagef:id:sampit77:20240106142008j:image車窓からは北海道駒ヶ岳が見える。旅はまだ始まったばかりだが、すでに雄大な景色が続いている。f:id:sampit77:20240106142013j:imageさっき二手に別れた函館本線が、森駅で再度合流する。駅の手前で、噴火湾が間近に迫ってきた。いかめしの駅弁が有名なとところ。f:id:sampit77:20240106141947j:image森駅での停車時間、ホームをぶらぶら、座りっぱなしだからこの時間は案外助かる。
f:id:sampit77:20240106141938j:imagef:id:sampit77:20240106142105j:imageそして五稜郭から約3時間半、18時前に終点の長万部(おしゃまんべ)に到着。ここで次の列車を待つ。次の列車は20時で、2時間ほどの待ち時間。とりあえず散策をしてみる。f:id:sampit77:20240106142001j:image3・4・6駅前通り、北海道っぽい通りの名前だけど、この数字が何を表しているのかは全く分からない。f:id:sampit77:20240106142118j:image海の近くまで来てみたものの天気が悪く引き返す。f:id:sampit77:20240106142122j:image長万部は名前も聞いたことがあったし、北海道新幹線が今後延伸したら新幹線も停まるようになると聞いていたから結構大きな町だと思っていたが、案外暇を潰せる場所がない…。することがなくなってしまった。ラルズマートというスーパーの店内をぶらぶらしてみるも時間はそこまでつぶせなかった。

ラルズマートの近くにちょうど定食屋を見つけた。今日は小樽まで行って一泊予定だが、到着は23時近く。長万部で夕飯を食べてしまうのはありだ。少し入りづらい店構えだったが、入ってみて大正解だった。地元の人しか居なそうな雰囲気なので、写真を撮るのは憚られたが、唐揚げを美味しく食べた。f:id:sampit77:20240106142032j:image待ちに待った小樽方面の列車。函館本線北へ。f:id:sampit77:20240106141943j:image日中なら羊蹄山が綺麗に見える絶景区間。しかも函館本線長万部〜小樽間は、北海道新幹線延伸後の廃止が決まっているのだ。何も見えない夜中に通過してしまうのは、少し惜しい。f:id:sampit77:20240106141934j:imagef:id:sampit77:20240106142044j:image22時50分、小樽駅に到着。長万部で夕食を食べて正解だった。静かな街を抜けて宿泊先へ。
f:id:sampit77:20240106142022j:image青森からスタートした長い1日目はこれにて終了。サッポロクラッシックでひとまず祝杯をあげて、寝床に入った。

 

つづく。