真冬の山形旅行記~米沢と鶴岡と銀山温泉~

暖冬の山形

2月、本来なら積雪がすごいことになっているであろう山形。しかし2020年2月下旬の山形旅行は雪に悩まされることはなかった。しかし、雪の積もった美しい景色は見ることができ、堪能することができた。ビバ暖冬。素敵な一泊二日の山形満喫旅行の振り返り。

 

日曜の朝 東京駅から米沢へ

 異常なマスク率。コロナウイルスが流行り始めて少しずつ街に緊張感が出てきている。だけど、まだ皆予定の旅行はキャンセルしなくて大丈夫だよね??という感じなのだろうか。マスク姿でスノボやスキー道具を持って上越新幹線ガーラ湯沢行きに列をなす若者たち。なかなか見慣れない風景。思い付きで東京駅のNewDaysを覗いてマスクを探してみたが完売していた。手を洗う時はいつもより入念にしようと心に決めて旅を始めることにした。

 初めて山形新幹線に乗った。福島での切り離しが楽しみ。東北新幹線上越新幹線も何回か乗ったことあるから、東京大宮間の景色は見慣れていた。毎回大宮近くのロッテ工場の雪見だいふくの看板をみると工場見学したいなと思う。澄んだ二月の空の下、新幹線は進む。大宮を出るとすぐ畑が見えてきた。落ち着く風景。ことりっぷをぱらぱら眺めたり、他愛もない話をしながら過ごす。郡山を過ぎたあたりからだろうか、少しずつ雲が増え、その重みが増してきた。雪国に向かっている感じがした。でも外は雨が降っているみたいだった。そして間もなく、福島駅に着く。東北新幹線との切り離しは気が付かないほどスムーズだった。そしてすぐに発車。山形新幹線はこれから奥羽本線を走る。すぐに雪景色になってきた。峠越えにわくわくした。見える山々もしっかりと雪化粧をしていた。これは米沢はすごい積もっているんじゃないかと期待半分不安半分。しかし、峠を越えて盆地に入ると意外と全く積もっていなかった。暖冬なんだなやっぱり。

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というわけで米沢駅。東京駅から約2時間半、新幹線を使うと近いね。駅の向こうは晴れていたけど、この時雪が降っていた。10時台だという事もあって、まだ食事には早いから街を散策することに。

 

2キロくらい軽く吹雪かれながら歩いただろうか。

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ところどころ町屋や蔵や明治期に造られたっぽい洋風の建物を見ながら、城下町らしい景色の中を歩く。

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一つ目の目的地の上杉神社に到着。米沢城の跡地に造られている神社。のちに調べたら明治に入ってからできた神社らしい。日本史に疎い自分は、はて上杉謙信は山形人なのか…という薄い感想を抱きながら散策。

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しかも伊達政宗生誕の地という石碑まであって、すごい場所だなぁと浅い感想をいだきつつ参拝。牛タンの街を作ってくれてありがとう伊達さん。日本史は30代までには勉強しよう。参拝したら、途端に吹雪がやんだ。こんな無知識な人間も上杉公は受け入れてくれたのだろうか、懐が深い。

 

上杉神社をあとにして、次は酒蔵見学。山形と言えば…?日本酒でしょう!

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 東光という銘柄を出している酒蔵さんへ歩いてやってきた。よき城下町にはよき酒蔵ありとでも言っておきましょうか。新酒が好きな私にとって、この時期の酒蔵見学は楽しみで仕方なかった。資料館も併設されていて昔の道具とか違う精米歩合ごとに削られたお米が置いてあったり面白い展示だった。勉強の後は試飲だ~。まずは、仕込みに使われている地下水を試飲して、そのあとは甘酒(これ普通に酔っぱらうだろっていうくらい濃い味だった)、そしてお待ちかねの新酒の試飲を。5、6種類は飲んだかな。幸せな時を過ごさせてもらった。

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試飲コーナーの様子。新酒の季節、いいですね。生絞りとか原酒とか言う言葉に心が躍る。

 

お酒でだいぶ温まった後は、米沢駅の方に踵を返してもと来た道を歩く。そして、駅前でお昼を。米沢牛を食べる。

 

牛鍋とすき焼きでメニューが分かれていて、何が違うのだろうと思っていたら、どうやら牛鍋は完全セルフ鍋で、すき焼きは作ってもらえるものらしい。ここのお店だけの違いなのか、そういうものなのか…気になる…

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考えた挙句、牛鍋をチョイス。このあとも色々食べたいので。

米沢牛美味しかった。これが米沢牛か~美味しい牛肉の味わい方として一番好きな食べ方かもしれないな。生卵に付けて食べること思いついた人は一体どんな人なんだ…反則的なおいしさ。

 

日本酒と美味しいご飯を堪能して、いよいよ東北旅行感が出てきたところでまた電車移動。奥羽本線の在来線で山形へ。

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山形駅にて。フルーツラインと書いてあるから左沢線の車両でしょうか。左沢を”あてらざわ”って読めないですよねぇ…

 

山形駅から、バスに乗り換えて鶴岡へ。

今回の旅では宿にこだわってみた。

お宿での時間を長くとるため、早めのチェックインを目指す。

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牡丹雪の舞う山形駅前。

 

このあと一時間半くらいバスに揺られた。途中月山の麓を通りながら。さすがに標高が上がるにつれ雪も降りが強くなり、だいぶ積もっているようだった。日本海側だから、鶴岡もかなり積もっているかなと思いきや、街に近づくと雪は雨に変わっていった。積もってもいない。

 

SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE に泊まってみた

鶴岡の信じられないくらい何もないバスターミナルを降りて、タクシーでお宿へ。SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE というところ。建築は詳しくなりたいと思いながら勉強しきれていないジャンルだけど、素敵だなと思っていた坂茂さんの作品。庄内平野の真ん中にポツンとある大きな切妻屋根が印象的なホテル。その外観の写真は何かしらで見たことはあったけど、一万円弱で泊まれることを知り決断したのだった。

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翌朝とった外観の写真がこちら。

 

この細長い切妻屋根の建物はフロントやレストラン、本を読みながらくつろげる共有スペースになっていて、そこから渡り廊下を渡った先にある棟が客室になっていた。

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入り口からフロントに上がる階段

天井も壁も木の明るさと温かみがすごい。とても落ち着くし、和らぐ。

いる人たちも、皆リラックスしているように見えた。

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おみやげや雑貨が売ってあったり。

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本が置いてあったり。ここで読んでも良いし、部屋に戻ってゆっくり読んでも良いみたいだった。

夜はここのレストランで、山形牛と日本酒をいただいた。

お風呂もなかなか可愛い内装で、男湯は露天風呂もあった。

 

一人旅が多いのもあって、色んな場所に繰り出すことに重きを置いていたから、宿代はいつも切り詰めていたけど、ホテルで贅沢をする心地よさを覚えてしまった。

 

翌朝の露天風呂も眺めが素晴らしかった。見えていた山は月山なのだろうか…

あと特筆すべきは朝食。バイキング形式で、山形ならではのものがたくさん並んでいてすべて美味しかった。盛り付けが下手すぎて写真を撮れなかったけど、芋煮もたべたし、山形だしをのっけたお茶漬けも食べたし、海も山もあってどっちも美味しいところでフルーツもあるとは…完璧だな。お米もお酒も美味しいし。

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朝の景色

 

木に囲まれた空間に朝日が差し込み、ごはんの香りが漂って、談笑する声とマグカップやお皿の音が響いている感じが印象的。木だと色んな音が柔らかく響く感じがするのは自分だけかしら。

しかも三連休だったからまだ連休中日。なんて素敵な休日の朝を手に入れたんだろうと思う。

 

食事を済ませて、チェックアウトを無事に終えてタクシーで鶴岡駅へ。

ここから列車とバスで銀山温泉を目指す。

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鶴岡から羽越本線で余目まで、余目から陸羽西線で新庄まで、新庄から奥羽本線大石田まで、大石田からバスで銀山温泉という大層な移動である。

しかも、各路線の接続が悪く、乗換が余目で50分、新庄で40分といった次第。

それでも退屈に感じなかったのは車窓の良さからだと思う。

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羽越本線から見えた庄内平野

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余目駅にて

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陸羽西線最上川沿いを走るからずっと景色がいいのだけど、うまく写真を撮れていなかった。

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山形新幹線の始終発である新庄駅にて。

学生の時東北一周旅を在来線でしたことがあって、新庄駅陸羽西線はその時以来で実に6年ぶりくらいかな。懐かしい。

 

銀山温泉に行ってみた

やっと大石田駅まで着いたが、ここからバス移動。きっとかなり古いバスが来るのだろうと思ったら、やはり相当な代物が来た。これはミャンマーとかでも走っていないレベルでは?と思った。なんとか座れたからよかったけど、古い車の振動と山道で一時間くらいのバス旅は結構ハードなものだ。

 

バスは山間へと進んでいき、周りも雪深くなってきた。

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そして、銀山温泉の手前でバス旅終了。ここから少し歩いて温泉街に向かう。

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周りは山しかなくて、川沿いにこじんまりと開けた温泉街という秘境感が堪らない。

街並みがきれい。大正ロマン

各旅館のチェックインが始まる時間より前に到着したから、まだ人はまばら。

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一番奥にある能登屋旅館の建物が一際存在感を放っている。ここに泊まって、窓から顔を出して川でも眺めてみたいものだな。あと、能登屋旅館の隣の旅館に滝の絵とか桜?の絵が描かれているのも一興だ。

 

銀山温泉の宿を最初は探していたのだけれど、全然空いていなかった。やはり連休とかはかなり早い段階で埋まっているんだろう。

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名前のとおり、銀山があったらしくその遺構もあった。

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また銀山温泉の奥の方は滝があったり、なかなか自然も美しいものだった。

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お昼は、お蕎麦を。お蕎麦屋さんの建物も年代物で、そこから見渡す銀山温泉もまた良いものだった。

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ゆっくりしたあと、温泉に入ってみることに。隈研吾が設計したしろがね湯という公衆浴場へ。細長い構造で男湯が一階、女湯が二階なのかな。こじんまりとした湯船で温泉を堪能。

 

お風呂から上がると、日暮れが近づいていて、ガス灯(本物)がついた街並みを撮ろうとしている人たちと、今日宿泊する人たちで賑わいだした。

自分もご多分に漏れずガス灯がついた夕暮れの景色を見たかったからもうちょっと街を散策。お土産屋さんで小さなこけしを買ってみた。あと、豆腐屋さんで湯豆腐を食べたりした。

 

そして、日が暮れて…

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素敵な景色になりました。

だけど残念ながらちょうどその時くらいから雨が強めに振り出したので、しかと景色を目に焼き付けて早めにバス停へ。

 

帰りのバスは新車のマイクロバスで快適だった。大石田に着いて、山形新幹線に乗ったらもうすぐに東京。遠そうで近い山形。蔵王、山寺、肘折温泉羽黒山五重塔…帰ってきてより山形好きになって調べたら行きたいところが増えてしまったではないか。次は夏にでも。こけしと目が合うたびに考える今日この頃なのでした。

 

終わり。