中国旅行記・東北地方を巡るⅠ~瀋陽・丹東~

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中国東北地方に惹かれる理由

2019年6月19日から6月22日まで、中国は東北地方を巡ってきました。

具体的に行った街は、瀋陽・丹東・ハルピン・大連の4都市。

 

個人的に、この地域は高校生の頃から何となく気になっていました。その理由は漠然としていて上手くは書けないですが、北朝鮮やロシアとの国境が近く、そして旧満州国であることから日本人も多く暮らしていたことのある場所という観点で面白そうなところだなと思っていました。

また、私の祖父もどうやら大連生まれらしいというのもそこはかとなくロマンを感じていました。

そんな、中国と周辺国との文化の交差地点ともいえる中国は東北地方を3泊4日で巡った時の記憶をここに書き起こしてみようと思います。

 

ざっくりとした旅程はこんな感じでした。

・6/19 

大韓航空720便 羽田空港AM2:00発⇒仁川空港AM4:35着

大韓航空831便 仁川空港AM8:05発⇒瀋陽桃仙空港AM8:55着

瀋陽から日帰りで丹東へ。瀋陽

・6/20

瀋陽から高速列車でハルピンへ。ハルピン泊

・6/21

ハルピンから高速列車で瀋陽に戻る。半日市内を観光して高速列車で大連へ。大連泊。

・6/22

大韓航空870便 大連周水子空港PM2:30⇒仁川空港PM4:55着

大韓航空705便 仁川空港PM6:35発⇒羽田空港PM9:05着

 

行った場所の位置関係はこのような感じです。

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行ったり来たりして非効率な周り方のように見えますが、日程の制約と飛行機の関係上このような形で動くのが最適だと判断しました。日本と韓国は時差がなく、日本・韓国と中国との時差は1時間です。そのため、全く時差の制約を感じることなく移動ができました。

 

1日目 瀋陽到着、丹東より北朝鮮を臨む

久しぶりの羽田空港。深夜2時に出発して瀋陽に9時前に到着とはなんと効率的。終電間際の京急で到着し、搭乗まで待つ。深夜2時ともなると、ビールを飲みたい気持ちもなくただ早く搭乗して眠りたい一心でした。機内食はでたのでしょうか。食べた記憶はないのでもしかしたらスルーしてしまっていたのかもしれません。

仁川空港に着いてもただただ眠い…。仁川は設備もきれいでWifiも飛んでいて素晴らしい空港ですね。ネット環境の準備は何もしていないので、ここがこの旅行中最後のラインやツイッターなどを確認できるチャンスでした。中国に入国してしまえばGoogle、ライン、ツイッターフェイスブックetcは繋がらなくなってしまいます。いわゆる金盾と呼ばれるもののせいです。中国用のWifiルーターを借りて持っていけば使えるらしいのですが、私はアナログな人間なので、地球の歩き方があれば十分だろうと思って特段対策は講じませんでした。

 

そして50分ほどの短いフライトですぐに瀋陽桃仙空港へ。遼寧省省都瀋陽に到着です。

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良い天気になりそうです。空港の規模はそこまで大きくありません。福岡空港位の規模のような気がしました。中国東北地方は、冬場はかなり厳しい寒さになるのですが、この時期は、あまり東京と変わらない気候でした。夏至近く、すでに太陽は高く、ジリジリと照りつけてきます。

 

出国審査はあっさりと終わり、中華人民共和国に入国です。なんとも形容しがたいですが、中国大陸には独特の中国的空気感というものを色濃く感じます。台湾とも違う何かを。中国入国は2015年に北京に行った以来、4年ぶりでした。

 

瀋陽の街までは、バスかLRTの可愛い電車での2通りの行き方があるようでした。Expediaで瀋陽駅近くに宿を予約していたので、直接駅前まで行ってくれるバスに乗ることにしました。中国らしい混沌とした列に並んで、割り込みに気を付けながらもチケットを難なく購入できました。

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乗るバスはこんな感じでした。約1時間ほど揺られていたと思います。高速道路からは、立ち並ぶ高層マンションの景色が続きます。これは本当に居住者がいるんでしょうか。地球の歩き方によると、瀋陽は人口726万人とのことでした。それでも瀋陽より人口の多い街がまだ10ほどある中国のスケールの大きさは恐ろしいです。

 

そして駅近くのバスターミナルらしきところで降ろされて、徒歩5分ほどで瀋陽駅に到着しました。とりあえず到着記念に、瀋陽駅。

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駅前の交通量の多さもまた、中国らしさを演出しています。駅舎は南満州鉄道の頃から使われているもので、東京駅を設計した辰野金吾の学生である太田毅、吉田宗太郎という2人が設計したそうです。外観は確かに東京駅に似ています。

とりあえず荷物を置くため、ここから15分くらい歩いたところにある宿に向かいました。この日泊まったのは錦江之星太原街というところ。フロントのお兄さんがかなりぶっきらぼうで海外旅行をしている実感が湧いてきました。錦江之星というホテルは日本で言う東横インみたいなところなのでしょうか。至る所にありました。

中国語が通じず、全く相手にしてくれなくて、無視され続けていたのですが、こちらも5年前の北京旅行の時の勘が戻ってきて完全に臨戦態勢。何とか予約していることを伝え、無事チェックインできました。部屋は最低限の清潔が保たれていて、クーラーが効く、そしてお湯がでたので文句なしです。

 

着いてから何も食べていなかったので腹ごしらえを。

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李先生という牛肉麺のチェーン店に行きました。中国語の先生は"~さん"の意味合いだったかと。醤油ベースのスープに牛肉の出汁、さらにパクチーのアクセントでいくらでも食べられます。李先生のロゴは、赤の背景におじさんの顔をあしらったものなのですが、これは全人類にケンタッキーを彷彿させると思います。あと、メニューに"好汤好面"と書いてありました。美味しいスープ、美味しい麺という意味なのでしょうか。私はタワーレコードの名文句を彷彿とさせられました。

 

満腹になったので、瀋陽駅に戻って丹東行きの切符を購入します。駅まで地下街があったので通ってみます。

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京都と書いてあるお店がありましたが、何を売りにしているのか分かりません。通路が思ったより狭く、少し前に建てられた地方のショッピングモールといった感じでしょうか。

 

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瀋陽駅に入ったところ。まるで、東京駅の丸の内口のような造りです。

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写真のように行列に並び、丹東行きのチケットを買います。今回は日帰りなので時間重視ということで"高鉄"と呼ばれる高速鉄道のチケットを買いました。確か瀋陽駅12:50発丹東着14:11というものだったと思います。瀋陽~丹東間は駅でその場で買いましたが後述する幾つかの移動はあらかじめTrip.comというサイトで日本で決済していました。その場合は、窓口でスマホの画面をみせるだけで切符を貰えて便利でした。

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発車時間まで少し時間があるので、売店でビールを買って旅の始まりに乾杯。雪花ビールというものを買ってみました。太陽の熱を感じながら飲むにふさわしい感じの、飲みやすい印象でした。しかし、ビールを駅前で飲んでいると結構ジロジロ見られました…

帰国して色々調べてみたけれど、路上で飲酒をする行為はあまり日本以外では一般的ではないとの文言を見つけました。奇異の目で見られていたのでしょうか。

 

列車の時間が近づいてきたので、改札内へ入ります。中国の鉄道は手荷物検査があるので少し早めに入ります。

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改札内はドーム状の構造になっており、広大です。日本では考えられないスケールの駅です。しかもそれが一地方都市の駅だという事実に驚かされます。改札内で新車の展示をしているのもバブリーでいいです。中国出身の友達が以前、中国人が一番資本主義的な考え方をしていると言っていましたが、少しそれを体感した気がしました。あちらこちらでマネーの香りがします。

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そして今日お世話になる高速列車、和階号が定刻で到着しました。座席は4列で若干狭く感じますが、大体日本の新幹線の自由席と同じくらいの幅かと思います。車内の雰囲気も落ち着いていて快適でした。ただ、周りの人たちが基本的にSNSを音声入力しているのと、ゲームや音楽をヘッドホンなしでしている人は良くおりますが。親中派の私は特段気になりませんでした。(もう慣れたといった方が的確かもしれません。)

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1時間半ほどして丹東駅に到着。

北朝鮮との国境の街です。駅から東側に歩くと鴨緑江という北朝鮮との国境河川があります。その間が市街地になっています。鴨緑江にかつて架っていて朝鮮戦争中に破壊された橋を目標に南東に歩を進めます。

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朝鮮系の食材などを扱う商店と、あとやたらと旅行会社が目につきます。ここでツアーを頼んだら北朝鮮旅行ができるのでしょうか。仕組みがよく分かりません。

汗ばむ陽気の中、大体15分くらい歩くと目当ての国境付近まで着きました。先ほど記載した、壊された橋の横には、道路と鉄道用の現役の橋も架けられています。そのため、北朝鮮へ物を輸送する大型トラックが渋滞しています。ハングルの書いてあるかなり年季の入ったトラックも目につきました。

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鴨緑江に着きました。鴨緑江断橋と書いてあります。ここは入場料が27元かかりました。1元≒16円ですから、大体450円ほどです。

この橋の隣には架っているのが中朝友誼橋で、道路と鉄道が国境を結んでいます。

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中朝友誼橋。写っているのは北朝鮮から中国に入国しようとしているトラックです。手続きのためか、若干渋滞しており車列が途切れることはありません。

中国側は、観光スポットになっているようで、写真撮影を楽しんでいる人たちが目立ちます。

この橋からは北朝鮮側の新義州市の街並みが綺麗に見えます。この目で北朝鮮を見ることができることに感動です。

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橋の途中から。川を挟んで右が中国・丹東で、左が北朝鮮新義州です。中国側のビル群が、経済発展の差を象徴しているかのような景色です。

 

破壊されて途切れているところまで、橋を歩いていくことができます。先端部分まで来てみました。

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中国人達は、北朝鮮の景色をバックに記念撮影をしています。

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建設中らしい円形のビルは何なのでしょうか。その周りには遊園地のように整備されているかのようにも見えます。北朝鮮側にて、こちらを見ている人や大型バスが出入りする様子、またランニングをしている人たちも確認できました。ニュースだけ見ていると北朝鮮の暮らしなど想像だにつきませんが、鴨緑江の向こうに平和そうな人々の営みを垣間見ることができました。

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北朝鮮の景色です。長閑な風景が広がっています。川を隔てて見る限り、発展途上であることは間違いないですが、貧しさや飢えといったイメージは全くありませんでした。

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鴨緑江断橋の終わりの部分は朝鮮戦争の時の爆撃の後を生々しく残しています。

北京と平壌の間には寝台列車の運行もありますので、いつか川の向こうまで行ってみたいものです。

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橋から街に戻り、川沿いの遊歩道を散策してみます。国境の物々しさはあまりなく、子供たちがボール遊びなどに興じています。国境沿いをめぐる遊覧船の発着場もありました。

 

市街地に戻ってきました。

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国境の街というだけあり、朝鮮系の人たちが多く住んでいるようです。ハングルの看板も目立ちます。北朝鮮のグッズやお菓子は無かろうかと物色していたのですが、意外と陳列されているものは韓国製が多かったです。

 

そろそろ瀋陽に戻ろうという事で、駅で切符を購入しました。発車までまだ時間があったので駅付近を散策。

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バカでかい毛沢東の像と後ろの高層マンション群。いかにも現代中国の象徴というような駅前の景色です。

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そして、折角なので北朝鮮名物の冷麺を食べてみました。こしの強い蕎麦粉ベースの麺がとても美味しかったです。

 

丹東を満喫して、瀋陽に戻ります。車内では、隣のおじさんがずっと大音量でゲームをして(それ自体は気にならないのですが)、ずっと大股に開いている足があたってきます。さすがにその傍若無人ぶりには辟易しました。これも中国大陸の旅行では覚悟しないといけないことですね。パーソナルスペースの感覚は、日本人と比べて格段と狭いと思われます。

 

瀋陽に戻ってきました。あたりはもう暮れています。

瀋陽では、東北料理を食べようかなと最初は思っていたのですが、面白そうな場所を見つけたので予定を変更しました。

 

瀋陽駅に戻って、地下鉄に乗り換え懐遠門という駅で下車後、大体20分くらい歩いて西関美食街というところにやってきました。

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こんな場所です。この見た目でお分かりの方も多いかと思いますが、イスラム教徒の民族料理を食べられる地区に来てみました。中国ではイスラム教を信仰する人たちのことを回族と呼びますが、瀋陽回族が多いみたいで、この西関という場所が回族の集住している地区なのだそうです。

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一本道の両側にアラビアンなブルーのネオンを光らせるお店が並びます。

 

とあるお店に入ってみました。冷麺でお腹は満たされていましたので軽くおつまみ程度にと、羊の串を注文しました。回族の街でビールを飲んでも大丈夫か心配していたのですが、周りの人たちが楽しそうに飲んでいたので私も構わず雪花ビールを注文しました。

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クミンのような香りがした気がする、スパイスが混ざった塩をまぶして羊串を食べました。この味が忘れられません。東京に帰国した後、初台というところにあるウイグル料理屋さんで羊串を頼んだところ同じ味付けのものが出てきて感動しました。

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そして帰りに衝撃的な光景に遭遇。羊肉が解体され、どんどん串に刺されていきます。しかも調理しているお兄さんが上裸なのも大陸らしい。日本ももう少しこういう生々しい部分が表に出れば食品ロスも減るのかもしれません。

 

この後、青年大街という大通りまで10分ほど歩いて出ました。そこから瀋陽駅近くのホテルまでは歩いて40分くらいかかりそうだったので、試しに路線バスに乗ってみることにしました。そんなに迷うこともなかった気がします。前乗り方式で1元でした。なかなかにワイルドな運転で体を揺さぶられながらも無事、ホテルに到着できました。

 

初日から、色々な民族の文化を感じた一日となりました。

翌日は、黒竜江省省都ハルビンへ向かいます。

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